「〇〇町」を「まち」と読むか「ちょう」と読むか。実は地域によって、はっきりした傾向があります。この記事では、全国にある「町」743件をすべて集計し、地方ごとの割合を出しました。すると、日本を南北に走る一本の「境界線」と、それを裏切る2つの大きな例外が見えてきます。
全国743の町のうち、読み方は「まち」が277町(37%)、「ちょう」が466町(63%)。数だけ見れば「ちょう」の方が多数派です。しかしこの平均値には、ほとんど意味がありません。なぜなら、読み方は地方ごとにきれいに分かれているからです。全国を8つの地方に分けて割合を出すと、それが一目で分かります。
本州に注目すると、「西ちょう・東まち」の法則が驚くほどきれいに現れます。東の端の関東は92町すべてが「まち」で、割合はなんと100%。少し北の東北も78%が「まち」です。ところが西へ下るにつれて「ちょう」が増えていき、中部で逆転(61%がちょう)。そして近畿では87町すべてが「ちょう」(100%)、四国も50町すべてが「ちょう」(100%)、中国地方も98%が「ちょう」です。
東の端と西の端で、読み方がほぼ真逆に入れ替わる。これが「西ちょう・東まち」の正体です。関東の人が西日本の「〇〇ちょう」に違和感を覚え、関西の人が東日本の「〇〇まち」を不思議に思うのは、この地理的な分布があるからなのです。
ところが、この美しい法則には大きな例外が2つあります。この「例外」こそが、地名読みの奥深さです。
「東(北)ほど、まち」の法則でいけば、日本の最北・北海道は「まち」だらけのはずです。ところが実際は真逆で、129町のうち128町が「ちょう」、割合99%。「まち」と読む町は、たった1つしかありません。それが渡島地方の森町(もりまち)です。北海道は明治以降に開拓が進んだ比較的新しい土地で、本州の東西の慣習とは別の流れで地名が付けられたことが、この特異な分布の背景にあると考えられます。
西日本=「ちょう」のはずが、九州だけは全体で56%と、まち・ちょうが拮抗しています。その理由は北部九州にあります。福岡県は29町中28町が「まち」、熊本県は23町中20町が「まち」、大分県は3町すべてが「まち」。西日本のただ中にありながら、北部九州は「まち」文化圏という、はっきりした島を作っているのです。
では、「まち」と「ちょう」の境目はどこにあるのでしょうか。数字を追うと、その線は中部地方の中を走っていることが分かります。中部は「まち」39%・「ちょう」61%と、ちょうど東西の勢力が入り混じる移行帯になっています。東寄りの県ほど「まち」が残り、西寄り・日本海側ほど「ちょう」に寄っていく。日本語の地名の読みが、地図の上でグラデーションを描いている様子が見えてきます。
ここまでの傾向を知っておくと、初めて見る町名でも「関東っぽいから、まちかな」と当たりをつけられるようになります。とはいえ、東北の岩手県のように地方の傾向にやや逆らう県もあり、最後はひとつひとつ確かめるしかありません。
あなたの気になる町は、法則通りでしょうか、それとも珍しい例外でしょうか。下の検索やクイズで、ぜひ確かめてみてください。
🔍 町名を検索して読み方を調べる / クイズに挑戦する >※本記事の集計は、総務省「全国地方公共団体コード」に基づく全国の「町」743件をもとに、当サイトが独自に分類・作成したものです。市町村合併等により数値は変わる場合があります。