北海道は99%が「ちょう」で、それでも森町という「まち」が1つありました。ところが西日本には、それを上回る“完全な地域”があります。近畿87町・四国50町、あわせて137町のすべてが「ちょう」。「まち」と読む町は、ただの一つもありません。なぜここまできれいに統一されているのか、見ていきましょう。
下の四角は、近畿・四国にある137の「町」ひとつひとつです。北海道の回では1つだけオレンジ(森町)が混じっていましたが、今回は……
見ての通り、一面の青。例外ゼロの100%です。7府県ある近畿も、4県ある四国も、どの県を取っても「まち」が1つもありません。これは全国でも突出した統一ぶりです。
「まち」は日本語の訓読み、「ちょう」は漢字の音を写した漢音です。西日本、とりわけ近畿は、古くから都が置かれ、大陸由来の漢語的な言葉づかいが公的な場で根づいた地域でした。地名の「町」を、より格式ばった音読み「ちょう」で読む慣習が、この文化的な中心地から定着していったと考えられます。四国や中国地方など周辺の西日本にも、その読み方が広く共有されていったという見方です。
東日本、特に関東で「まち」が主流なのと、ちょうど裏返しの関係です。「西ちょう・東まち」という全国的な傾向の“西の極”が、この近畿・四国だといえます。
近畿・四国には「まち」が皆無ですが、では西日本で「まち」と読む町はどこにあるのでしょうか。一番近いのは、中国地方・島根県にあります。
中国地方49町のうち、「まち」と読むのは島根県の川本町ただ一つ(残る48町はすべて「ちょう」)。西日本全体を見渡しても「まち」はごくわずかで、川本町はその貴重な例外です。北海道でただ一つの「まち」だった森町と同じように、多数派の海の中でぽつんと異彩を放つ存在です。
面白い対比があります。北海道は「ちょう」が99%でしたが、森町という例外が1つありました。一方、近畿・四国は例外ゼロの100%。統一度でいえば、西日本の方が北海道より上なのです。同じ「ちょうだらけ」でも、成り立ちは大きく違います。北海道は開拓という新しい歴史の中で「ちょう」に振れ、近畿・四国は古い都の文化の中で「ちょう」が根づいた——読み方の背景にある物語は、地域ごとにまったく異なります。
白浜町、那智勝浦町、内子町……思い浮かべると、確かにどれも「ちょう」ですね。近畿・四国の町なら、まず「ちょう」と読んで間違いありません。気になる町の読み方を、下の検索で確かめてみてください。
🔍 近畿・四国の町名を検索して読み方を調べる >※本記事の集計は、総務省「全国地方公共団体コード」に基づく全国の「町」743件をもとに、当サイトが独自に分類・作成したものです。市町村合併等により数値は変わる場合があります。